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作品タイトル
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ちびくろさんぼのとらたいじ
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製作
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電通映画社、人形映画製作所
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原作
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『ちびくろさんぼ』(岩波こどもの本)
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原作者
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ヘレン・バーマン(文)、フランク・ドビアス(絵)、光吉夏弥(訳)
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作者・スタッフ
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製作:稲村喜一
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脚本:村治夫
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演出:持永只仁
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撮影:岸次郎
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美術:江口準次 人形製作・川本喜八郎
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音楽
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音楽:加藤三雄
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巻数
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2
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公開年月日
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1956年
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完成
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1956年11月
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フォーマット
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35mm
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色
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白黒
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音声
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トーキー
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尺(長さ)
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475m
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時間
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18分
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略筋
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両親から新しい洋服とパラソルをもらったサンボが得意になってジャングルを歩いていると、次々に三匹の虎が現われ、サンボを食べるとおどす。そのたびにサンボは洋服や傘を与えて危機を逃がれる。分捕品を身につけた虎たちは、俺こそジャングルの王様だとけんかを始めるが、相討ちで皆のびてしまう。あまりの熱戦のため虎たちは溶けてしまいバターになっていた。サンボ一家はそのバターでドーナツをあげて喜んで食べた。
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解説
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第三作ともなるとスタッフにも余裕が出来て、実にのびのびと作っている。ラストの虎がバターになるギャグなど傑作だった。'58年度第一回バンクーバー国際映画祭最優秀賞受賞。バンクーバーでの受賞が後年、ビデオ・クラフト社との合作人形映画製作のきっかけとなった。
三十二年一月号「リビング・デザイン」(美術出版社発行)に羽仁進が適切な映画評を書いているので再録しておく。
「いま日本の映画界で最も遅れている部門はアニメーション映画であろう。この部門に関するかぎり日本映画界はほとんど不毛の土地である。とくに、漫画や動画でない“物”が動く映画は、大藤信郎氏の切り紙細工をのぞけば皆無に近い状態だった。『ちびくろさんぼ』(二巻)の出現はおおおいに歓迎されるべきだ。『ちびくろさんぼ』を作った人形映画製作所はこれで三番目の仕事を完成したのだが、その急速な充実はこの映画に立派に実っているといってよいだろう。二十年前の人形映画は漫画映画の著者今村太平氏に『奇怪で陰惨な印象』を与えたそうだが、今日のチェコを中心とする人形映画のテクニックはむしろ漫画よりもはるかに生命感に富み、明るい『おはなし』の世界を展開することができる。
この映画を見て第一に楽しいのは、主人公になる黒ん坊の少年さんぼの人形が大へん魅力的だということである。白と黒のパラソルをおみやげにもらって喜ぶさんぼ、虎にそのパラソルばかりか上衣とズボンまでとりあげられてパンツ一つになって泣くさんぼ、それらのクローズアップは充分にお客さんたちをひきつけていた。川本喜八郎氏の人形と、それを動かした持永只仁氏の成功である。 敵役になる三匹の虎達、ふざけ好きな二匹の手の長いサルの子ども達、いろいろな登場人物の中で僕の好きだったのはロバである。うまくこの動物の特徴をとらえていながら、まるいおでこの頭や小さな口にユーモラスな誇張がくわえられているこの『役者』につけた『演技』も大へん感じが良い。虎が仲間喧嘩したあげくバターになってしまった。それでお菓子をつくることにしようと、さんぼのお父さんが提案した時、うしろで一人頭を振って喜んでいたあたりはじつに楽しい。
この種の映画が白黒で作られる場合に多くの不利を背負うのはセットであろう。いくらレアルになったとしても、実写映画はもちろん、漫画映画にさえかなわない。しかし子供たちを話にひきこむためには、やはり真実味が必要なのである。いわば映画の基底になるリズムを作るのがこの仕事ともいえるだろう。場所が南の熱い国という、いわば既成のイメージにたよりやすい条件はあったにしても、江口氏の美術は前作の『五匹の子猿』の時のような混乱をちゃんと解決していた。虎からできたバターで、『白黒まだら』の虎模様ドーナツを実際の支那鍋で揚げているショットなどが挿入されていたのなどは、スタッフの余裕を物語るものなのだろう。このシリーズは、はっきり子供を観客の中心に考えているのであり、そこにかえって高度の技術の消化を要求されてもいるわけだが、日本の映画界が新しいアイディアを育てることの下手なことを思えば、みんなで声援する義務もあるのではないか。そろそろハイクラスな美しさをもった映画が日本にできてよいころなのである。」
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受賞歴
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1957年度教育映画祭最高賞
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昭和三十一(1956)年度文部省特選
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昭和三十二(1957)年度第五回キネマ旬報文化映画ベストテン第10位
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1958年第一回バンクーバー国際映画祭児童映画最優秀賞
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リストID
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NAE0556
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掲載ページ
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248